ADHDの治療に音楽は有効なのか
音楽はジャンルにもよりますが、聴いている人の気分を落ち着かせたり、逆に興奮させたり、眠りを誘ったりという様々な効果を持っています。個人経営の心療内科では、順番待ちの患者さんがリラックスできるように、待合室ではオルゴール等で演奏されている音楽を流している所もあります。
では、ADHDの治療には音楽は有効でしょうか。
音楽療法とは
音楽療法とは音楽を聴いたり演奏したりする際の心理的効果を応用し、症状の改善を計る療法です。音楽を聴く受動的音楽療法と、演奏を行う能動的音楽療法の2つがあります。
音楽を聴く事は人間の機能の一つである聴覚系と深く結びついており、脳を中心とする身体的機能に影響を及ぼします。
また、音楽を演奏する事は触覚、視覚、運動系との協調が必要となり、総合的な心身活動を行う事が出来ます。
ADHDと音楽療法
ADHDの治療は基本的に精神神経科等の病院で診察を受けた上で薬物の投与と行動療法で行われます。しかし、中には音楽療法を使って治療を行っている人も数は少ないですが存在します。
ADHDに対する音楽療法は、ADHDの人が持つ「多動性」や「衝動性」といった症状を、音楽活動(能動的音楽療法)を行う事によって上手く発散する事が出来るようにする事です。
ADHDの子供がADHDの症状として暴力的な行動を起こすようであれば、攻撃性の発散に適した楽器(打楽器等)を与え、まずは自由に発散させ、次の段階として一定の音楽的秩序の中に溶け込ませて、楽器をコントロールする事を学習させます。
この様に、日常生活での問題行動の背景にある衝動を音楽活動に移し変える事によってADHDの症状を抑えると考えられています。
他の楽器と合わせて音楽を演奏出来るようになるまでにはADHDではない子供と比べると時間がかかりますが、ADHDの子供が音楽活動を行う事によって暴力的な行動が減ったり、医師から処方された薬の量が減っても問題行動を起こしにくくなったという実例があります。
その為、「多動性」「衝動性」がある場合には音楽療法は効果があると言えます。
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